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2009年5月 9日 (土)

十人十色

今日も仕事でした。

なので今日の内容は重いです。

「こんなお天気も良くて、水遊びも楽しかった日に、そんな重い話なんか読みたくないわい!!」

というあなたは、このまま閉じちゃって下さい(笑)

昨日、仕事で往診に行きました。

目的は“あん○く死”です。

この仕事をしている限り、こういう場に立ち会うことは避けられません。

そして慣れることもありません。

昨日の朝、病院にあん○く死の依頼がありました。

夜家族が全員揃ったら連絡するので、自宅に来てもらいたい。

8歳の誕生日を迎えたばかりのコーギーで、腫瘍が原因で肺に水が溜まっており、息が苦しそうとのこと。

前日の夜に発作が起こったらしく、見ているのも辛いのであん○く死を選択したいとのことでした。

もちろん気は進まないですけど、仕事なので院長と向かいました。

その方の自宅のドアを開けると、コーギーが尻尾を振りながら出迎えてくれました。

私はてっきり多頭飼いだと思いました。

そしたらなんと、あん○く死させるのは、出迎えしてくれたその子だったのです。

愕然としました。

てっきり寝たきりで、ご飯も食べず、動くことも出来ず、ガリガリで、ただ「生きている」だけという状態だと思っていたからです。

そのコーギーはご飯も食べていました。

私が家に入ると、寄ってきて「撫でて~」ってしてくれました。

確かにお腹は腹水でパンパンで、伏せするのがしんどいらしく、ずっと座るか立っているかで辛そうではありますが、目にも力があり、あん○く死が必要だとは思えません。

それでも飼い主さんは、「本当に今日されますか?」との院長の問いに、「この子が昨日みたいに苦しむのを見たくないので」と答えました。

私はどうしても納得がいきませんでした。

でも私にはどうすることも出来なかった。

仕方がないので注射の準備をしました。

院長が「準備は出来ていますので、しっかりお別れをしてあげて下さい。」と言いました。

家族がその子を撫でて話しかけていると、突然その子が私の所へトコトコと寄ってきて甘えて来ました。

何かを訴えられている気がして、やり切れない思いでした。

その子をギューって抱っこしたら目が合って、風太が「ご飯ちょうだい」とか「遊ぼう」って訴える時の目を思い出しました。

あん○く死を全否定することは出来ません。

必要な場合もあると思います。

でも今日、再度実感しました。

この子たちの運命は、私たちが握っているんだと。

人それぞれの感じ方や考え方があるので、今回のようにご飯も食べられて、目に力も残っていて、それでもあん○く死を選ぶ人もいます。

絶対私情を挟まないようにとは思っていても、今回ばかりはとても悔しい思いでした。

今にも口から「もう一度考え直してあげて下さい。」って出そうで必死にこらえました。

キリがないかもしれない。

それでもこんな町医者1軒で終わらせず、せめてもう1軒だけでもセカンドオピニオンに行って欲しい。

「可能性」を探してあげて欲しいと思ってしまいました。

でも本当に難しく、デリケートな問題だと思います。

なんせ正解がありませんから。

この子のためだと思っても本当に我が子が納得しているかは、言葉を持たないこの子達を相手に知る手立てがないのですから。

だから誰を責めることも出来ません。

だけど、今回のあん○く死は、忘れられないものとなりました。

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コメント

真剣に読ませていただきました。
沢山の事、改めて考えさせて下さってありがとうございます。ほんとうに、色々な意味を含む問題ですよね。色々な事が頭を巡ります。
「命の現場」を支えて下さっている”あきちゃん”に改めて有り難うございますを言いたいです。

投稿: KANHAHA | 2009年5月10日 (日) 21時47分

ご無沙汰しています。。。
いつも風太君とパパ&ママさんのコミュ風景楽しみに読ませて頂いてます。
医療現場でのお仕事ご苦労様です。。。
あきちゃんの熱い想い解るように思います。
我が息子、動物関係の仕事してるのですが動物相手より
飼い主さん相手に翻弄され疲労が蓄積する!と言っています。
私のように知識が無く凹んでしまい放置してしまったり・・・
線引きの少し食い違いだったり・・・ホンと十人十色!!
今はそれが個性と言う言葉で良かれ!としている風潮!!
見たくもないポスター『動物遺棄・虐待は犯罪です!!』

そんな中、あきちゃん色を見失わないで
風太君にあきちゃん色を染め上げて下さいd(^-^)ネ!
こういう人が増えていけばあんなポスターは無くなるハズ。。。
私も皆さんとお知り合いになれてGenママ色が出来つつあります(^_^)
いつも長いコメ&生意気お許しを・・・

投稿: Genkiママ | 2009年5月11日 (月) 01時21分

読みながら涙が止まりませんでした。
あきちゃんつらかったね。色々考えさせられる記事でした。

投稿: シリウスママ | 2009年5月11日 (月) 12時31分

☆KANHAHAさん☆

あっ、ローマ字だ(笑)

私も色々考えさせられました。
「命の現場」を支えてるなんてとんでもない。
まだ生きられるかもしれない命を救ってあげることが出来ませんでしたから…

でもやっぱりこれからも、この仕事は出来る限り続けていきたいと思っています。

投稿: あきちゃん | 2009年5月12日 (火) 11時21分

☆Genkiママさん☆

こんな重い話題にコメントありがとうございます。

私のお仕事、動物相手と思いきや、やっぱり人間相手なんですよね。
動物の為にはこうしてあげた方が良いですよ。ってアドバイスしても、飼い主さんが聞き入れてくれなければ、動物の為になりませんからね。

動物も人間と同じように、喜びや悲しみ、痛み、空腹…
色んな感情や感覚を持ち合わせているということを、少しでもたくさんの人に理解してもらいたいと思っています。

投稿: あきちゃん | 2009年5月12日 (火) 11時27分

☆シリウスママ☆

そんな風に言ってくださって嬉しいです。

ほんとにこの子達の運命は、私たちが握っている。
そしてこの子達は、それを受け入れるしかないんだということを実感しました。

投稿: あきちゃん | 2009年5月12日 (火) 11時30分

友達が、『キリがなくなった状態』の末に犬を見送った経験を話してくれたことがあります。
自分で排泄ができなくなったらその決断をしようと決めてたけど、その時が来たら排泄の手助けをしてやるようになり、次はご飯を食べられなくなったらと決めていたけど、ご飯も手助けして食べさせて。
そんな中、震災の直後に亡くなったことを今でも泣きながら話してくれました。

幸いにもまだ私にはその時が来ておらず、どっちがどうって言えないけど、きっと通らなければならないところ。
難しいよね。
辛いお仕事、お疲れさまでした。
自分の手にある二つの命への責任の重さを考えました。

投稿: ナオぼん | 2009年5月12日 (火) 19時20分

真剣に読ませていただき、大変なお仕事であるなぁーと、感じ入りました。
ご存知のとおり当地は、サラブレッドの80%を生産している競走馬生産地で、勿論乳牛も肉牛もいますが、みんな経済動物なのです。
経済効果がなくなった動物は、直ぐに屠殺してしまいます。
経済動物を育て経済効果を得る現場には、感情移入の余地はない、そんな地域環境下では愛がん動物も同列に見られがちです。
今回のあきちゃんの苦悩の記事を読み、どこかで地域環境に押し流されることを黙認しているような自分を発見し、ゾッとしました。
こちらの小動物の獣医さんは、大動物の獣医の奥さんが多いのですよね。
ですから、かなり冷静に見切ってしまうケースも見ていますので、わが子のときは、少なくとも専業医院でしっかりセカンドオピニオンを受けたいと思いました。

投稿: shio-chan | 2009年5月12日 (火) 20時01分

☆ナオぼんさん☆

辛いと言うより、忘れられないお仕事でした。
キラキラしたその子の瞳と、止めることすら出来なかった自分に悔しい思いでいっぱいです。

今でも思ってしまうんです。
あれは「あん○く死」ではなく、「さ○処分」だったんじゃないかって。

どんな小さなことでも、わが子が「生きたい」というサインを出すならば、それに応えてあげたいといつも強く思っています。

投稿: あきちゃん | 2009年5月14日 (木) 15時03分

☆shio-chanさん☆

経済動物。
愛玩動物。
その子の背負った運命が違えば、最期の迎え方も当然違ってきますよね。
ただ間違いないことは、どちらにしても私たち人間は動物たちに助けられて生きているということです。
そして動物たちは、人間の決めた運命に抗うことはできないということです。

だからもっと私たち人間は、動物たちの「生命」に責任を持つ必要があると思っています。

投稿: あきちゃん | 2009年5月14日 (木) 15時07分

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